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#0025@ペット医療の問題点 [ペット]

猫の目に後遺症、45万円賠償命令=獣医師の治療ミス認める-東京地裁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080618-00000122-jij-soci 

獣医師の医療ミスを認めた裁判があった。45万円という賠償金額の根拠がよくわからないが、請求額の510万円の根拠もナゾだ。

そもそも、ペットにまつわる「お金」は、賠償金に限らず、医療費、供養代など、その金額の算定基準がよくわからないものが多い。

昨今は、そのせいもあって、飼い主と獣医師の関係がとても「微妙」になっている。微妙だから、ときに裁判沙汰になることがあるわけだが……。お金のことは、はっきりさせないといけないと思う。

ワタシも愛犬の医療で不愉快な思いをしたことがあり、その際にいろいろと調べてみた。

そのときに、獣医には十分な育成制度がなく、獣医師免許を取れば、それこそ明日から開業することは可能だということを知った。もちろん、大学内の動物病院で経験を積んでから開業するとか、開業してからも最新の医療や技術を学ぶためにひんぱんに研修に参加する獣医もいる。育成制度が整っていなくても、それなりに努力している人はいるのだ。

ただ、一方で、公的な保険もなければ、人間の病院のように医師と薬局の「分離」が行われていないため、処方箋ナシで、獣医師の任意で使用する治療薬がすべて決まってしまい、そのため「証拠」が残りにくいという、ペット医療ならではの問題もある。ちなみに、犬の医薬品のほとんどは人間用と同じもので、犬用に開発された薬はあまりないので、いわゆる「ジェネリック医薬品」のようなものが使われることが多い。

だから、なのか、病院によって医療費がバラバラ。とくに大きな手術をする場合には、最初にいくらかかるかを教えてくれないこともある。何日、何か月かかるかわからない病気の治療では、飼い主側の備えの問題もあるし、第一、治療を諦めて飼い主がペットを置き去りにした場合に、医療費を取りっぱぐれる可能性だってあるのではないか? という懸念もあるはずだが、どうやら獣医は飼い主を「値踏み」して、その上で金額を決めているようだ。

その「値踏み」の内容は、「この飼い主は金持ちか貧乏人か?」「ペットに対する思い入れの程度は?」、そして「クレーマーになりそうなタイプかどうか?」というものだ。

獣医がもっとも心配しているのは、じつはペットを助けられるかどうかではなく、「そのペットが死んだとき、飼い主がキレること」なのではないか?

犬の場合、人間であれば現代の医療技術で助かるような病気でも、回復を諦めざるをえないことがある。とくに大量出血を伴う手術や、臓器移植以外に助かる道のない内臓疾患などはほぼ絶望的だ。ただ、「人間の常識」を持つ飼い主としては、「どうしてこんな病気が治せないんだ!」という思いがあるため、万が一、愛犬が死んだ場合、獣医にクレームをつける確率が高くなるのだ。「モンスターペアレンツ」ならぬ、「モンスターキーパー(飼い主の意)」に豹変するということだ。

そこで、獣医は、「この犬、もうそろそろダメそうだな」という段階になって、その飼い主の性格やこれまでの行動、そして犬の年齢や犬種などから、「死んだ場合に請求する医療費」の算段を始めるようになる。基本的には「初期費用」に「継続医療分の費用」を追加することになるはずだが、この「追加分」については、実際に請求する段階まで、金額を算定しないようにしておくわけだ。あるいは、歴史のある病院では、そういういろいろなパターンに対応した算式が存在するかもしれない。あくまでもワタシの予測だが、そういう経緯を経て、そのペットごとに医療費が決まっていくのではないか?

それと、獣医が医療費を明朗会計にしない傾向があるのには、もうひとつ理由がありそうだ。それは、「ほかの飼い主」を視野に入れている、ということだ。

動物病院は小規模なところが多く、待合室が接客・会計カウンターの目の前にあるのが普通だ。そういう場で、「犬の○○手術はいくら」とか「猫の△△治療は何万円」と具体的な医療金額に関するやり取りが行われると、周囲の待合室にいる飼い主にもそれが聞こえてしまう。予防接種やフィラリアの薬をもらうのに定期的に来ているような飼い主にとっては、ペットが健康なうちはそういう金額に関する情報は無意味かもしれないが、万が一、自分のペットが大病を患った場合、そのときの金額のやり取りを思い出すかもしれない。いや、そもそも獣医としては、「常連の飼い主同士が医療費の情報交換をしているかもしれない」というのは、当然考えておくべきことなのかもしれない。

だから、医療費を明確にしないのだ、とワタシは思う。

とはいえ、いずれ(不幸にも助けられなかったときには)、医療費は飼い主に請求しなければならない。さて、では「いくら」にしようか?

そのとき、もうひとつ心配なのが「クレーム」や「裁判」といった問題。獣医だって、できれば訴えられたくない。果たして、飼い主にどう対峙しょうか……。獣医が恐れているのは、医療費の明細を飼い主に見せたときに

「こんなにカネかかったのに助けられなかったのか?」とか

「こんなにかかるんなら、『新しい犬』を買った方がよかった!」

といわれること。後者は愛犬家・愛猫家にとっては信じられない発言かもしれないが、ペットの死を前にして、こう逆上する飼い主は多いらしい。

ちなみに、これらの情報は、ワタシの実体験に加えて、ネットで拾ったものもたくさんあるが、そういう情報からワタシなりに導き出した医療費に関する結論は、

「もしかすると医療費はペットショップに並ぶ『子犬』の値段によって違うんじゃないか?」

というものだった。高い犬や猫を買った飼い主は、表向きは「ペットも家族」といい、実際にかなり大事にしているとしても、どこかでペットを金銭的な価値観で捉えているところがあるのではないか? 獣医は、その心理を巧みに突いてこそ、自分たちの居場所を確保することができているのではないか、と思える。悪徳営業の動物病院にとってはもちろんだが、まじめに営業している獣医師にとっても、医療過誤訴訟はやっかいなもの。だから、どうしてもそうした処世術が必要になるのだろうと思える。

動物病院の「実態」に関しては、いろいろと悪いウワサも多いが、今度、機会があったら、ペットフード産業との関係についても調べてみようと思っている。別に、誰かを敵に回そうと思っているわけでもないのだが、ペット関連産業には不可解な点が多すぎるから……。


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コメント 2

ぺっとっと

私もこの分野に少し関係するものですが、ほぼ正解だと思います。
筆者さんは獣医師ではないのですか?
獣医師でないとすると、情報が少ないにもかかわらず非常に中立な見方で書いておられインテリジェンスの高さを感じます。
動物の世界はとかく感情的になりがちで、飼い主も獣医師も感情に訴えかけるような駆け引きをされる方がいます(全部ではありません)。しかし実情は、お書きのとおり実利的な駆け引きが水面下で行われます(一部の方ではです)。基本的に商売ですから、獣医師に利益度外視の善行を求めないでください。獣医師の側も飼い主の足下を見る商売や、あまり美辞麗句というか建前論を振り回さ無いよう。この子(わんちゃん)を救うためとかいって、子供の教育積立金を取り崩すような治療をするのは、人間として立派でも親としては下の下だなと思ったこともありました。
by ぺっとっと (2008-07-07 12:52) 

Beagle

>ぺっとっと さんへ
コメントありがとうございます。ワタシはもちろん獣医師ではありません。いくつかの動物病院で、獣医師や看護師の「こちらの心理を探るような視線」を何度も感じたので、「何かある」と思って調べました。おっしゃる通り、獣医師も商売ですから、保身術というか処世術を持っているのは当然だと思います。でも、それが明朗会計を行わない理由になってはいけないと思います。
by Beagle (2008-07-08 10:47) 

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