#0043@球界はマクロ構想を

ＷＢＣの中日選手全員辞退は、必然のような気がする。落合監督の言い分はもっともだろう。

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/npb/headlines/20081122-00000016-kyodo_sp-spo.html

最初、このニュースに触れたときは「星野監督に対する義理立てか？」とも思ったが、たぶん、そんな次元の低い話ではないだろう。

中日の選手はオリンピックに参加するためのイレギュラーな調整によって調子を崩し、本番で活躍できなかったばかりか、帰国後のリーグ戦でも優勝を逃してしまった、と思っているのではないだろうか？　だから「来年こそはしっかり戦いたい」という理由で辞退したのではないか、と思える。

とにかく、今年、プロ野球界は「北京オリンピック」があったおかげで、揺れに揺れた。

個人的には、選手の人選の段階で「名前と実績」だけで選んでいるように思えたため、正直言って「これで大丈夫か？」と不安に感じた。相手が外国人であれば、「選手の名前」では勝てない。それは前回のＷＢＣでアメリカが弱かったのを見ればわかること。相手がメジャーリーグの選手を揃えても、日本チームですら萎縮しなかったではないか。

ただ、仮に選手選考の基準が違うものだったとしても、やはりメダルは遠かったのではないだろうか？　その理由はやはり「選手の調整が難しい」からだ。シーズン中に、国際大会に参加することのデメリットについては、意思の疎通やチームワーク、連係プレーなどがうまくいかないと指摘する向きもあるが、それより問題なのは、リーグ戦を抜ける段階で、出場選手が「どの程度疲労しているのか」「調子はいいのか悪いのか」「ケガや体力面での不安はないか」ということを考慮せずに、本番で選手起用を行ったことだ。つまり、事情はどうあれ「選手の名前」に過度の期待をかけてしまったのだ。

たしかに人選の上では、日本プロ野球界を代表する主力選手ばかりが選ばれている。ただ、選出された後、しばらく経ってからオリンピックに行くわけだから、リーグ戦の展開によっては、とくにピッチャーの場合は、その段階ですでに酷使されている可能性があるし、逆に、春先に故障した選手ならば、夏場にようやく復帰して試合に出られる状態になった程度でしかない、という可能性もある。そんな選手を「一度決めたことだから」と試合に送り出して、はたして活躍が期待できるだろうか？

オリンピックで優勝した韓国は、１次メンバー、２次メンバーを用意し、本番直前でメンバーを入れ替えて「調子のいい選手」ばかりを集めたそうだ。韓国の場合は、オリンピック期間中はリーグ戦を休止しているからできたことだが、日本だって、それぐらいの「気合い」で臨むべきではないか？　２００２年のワールドカップサッカーのときは、プロ野球を休止したではないか？　つまり、できないことではないということだ。選手が調整しやすい環境を作ってあげることこそ、国際大会で活躍してもらうための基本なのではないだろうか？

それと、そろそろ「使用球の統一」をした方がいいだろう。試合の直前でいつも使っているのとは異なるボールを使うというのは、「そもそも競技としてどうなのか？」という疑問符が付く。ボールメーカーの商業的・政治的な思惑はあるにしても、、理想は「全世界共通球」でのプレーだ。そうしないと結局、負けたときの言い訳になる。ここは日本球界のアクションで、統一を働きかけてほしいところだ。今後、もしサッカーのように、年に何戦か、国対国の試合（アジアカップのような大会など）が行われるようになったりすると、使用球の問題は避けては通れない。だから逆に、これを「世界に野球を広めるチャンス」と捉え、日本球界が積極的に国際大会に関与していくようにすればいいと思う。

それと、オリンピックにしても、ＷＢＣにしても、もう少し、「先のビジョン」を持って対応した方がいいだろう。せめて監督ぐらいは早めに決めておきたい。２００９年にＷＢＣがあることは、前回大会のときかわ分かり切っていたことなのに、なぜ監督の人選すら行われなかったのか？　サッカーの代表監督は少なくともワールドカップの４年前には決まっているではないか？

このまま順調に行くと（大会が存続すれば）、２０１２年はＷＢＣとオリンピックの両方が開催されることになるが、それでも今までのように「行き当たりばったり」で切り抜けるつもりか？　

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