#0219@素材革命 [クルマ]
マグネシウムに注目
千葉県の「幕張メッセ」で毎年行われている「東京オートサロン」。今年は、今日と明日(17、18日)の2日間行われます。
このイベントは、一般的には「カスタムカー」「チューニングカー」のイベントと認知されていますが、細かいところを見ていくと、自動車全般に関する、工業的、あるいは商業的な情報をたくさん入手することができます。
キャンペーンガールの「今年のラインナップ」や「世代交代」を知るというのも、そのひとつかもしれませんが……。
そんな、あらゆる情報が飛び交う中、ワタシが注目したのが、このパーツです。
一見すると、「ただの金属板」のようですが、そこには「次世代のクルマづくり」にとって、とても重要なテクノロジーが盛り込まれているのです。
これ、右のものが従来通りの鉄板(プレス成型材)で、左のものが「マグネシウム」製のプレス成型材なんです(上にある2本の棒状プレートは、上が鉄板、下がマグネシウムです)。
自動車用としての「マグネシウム素材」というと、ホイールなどでは実用化されたことがありますが、すぐに錆びるとか、燃えやすいとか、そういう欠点を克服できなかったため、現状ではあまり使われていません。
しかし、その「軽さ」に注目し、何とか実用化できないか、と研究者たちはずっと開発を続けていたんですね。
それがようやく日の目を見そうです。今どきは、燃費改善のために軽量化は自動車開発時の必須項目なので、マグネシウムにもスポットライトが当たったというわけです。
写真のパーツは、スバル(富士重工業)系の車体設計や部品製造企業としては比較的有名な「矢島工業」という会社が開発したマグネシウム部品なんですが、現状で、「1.5倍の厚みで約1/2の重量」という特性を実現させたようです(同等強度確保を前提とした製品仕様において)。
この特殊マグネシウムの特徴は、第一に「難燃性」であること。そして第二に腐蝕に強いことが挙げられます。難燃性向上のために、カルシウムを特殊な方法で配合しているそうで、これにより、溶接や切削という、熱環境の中での加工が容易になったとのこと。それに、表面に特殊なコーティングを施してあるので、錆び(酸化)にも強く、塗装も通常の鉄板同様に行えるとのことです。
というわけで、まさに「マグネシウムの素材革命」が起きようとしていますが、矢島工業では、素材の開発とともに、新素材に最適な工作機械、成型機器の開発も行っており、最適な生産方法の実現にも目途が立ったようです。
あとは、コストの問題ですね。これをどうクリアするかがカギです。
ところで、「矢島工業」はスバルファンならご存じのように、アフターパーツブランドとして「シムスレーシング」を展開している企業ですが、ということは、もしかすると、レガシィやインプレッサ用のアフターパーツとして、マグネシウム製品が登場する可能性もあるということですね。
「付加価値」という点では、純正部品よりもアフターパーツの方が認められやすい環境にありますから、もしかすると、「スバル」よりも「シムス」で先に実用化されることも期待できますね。
もし、明日(17日)に東京オートサロンに行く予定があるなら、矢島工業のブース(西館の向かって右奥。インプレッサが目印)に行って、マグネシウムパーツの「軽さ」を自分の目(手)で確かめてみることをおすすめします。
「いやぁ、こんな不況下でも、やはり日本の製造技術というのは着実に進歩しているんだなぁ」ということを、きっと実感できるでしょう。
今後の動向はホームページでチェック
www.syms.co.jp
(矢島工業 0276-31-1311)
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