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生食用(#0310) [ニュース]

ユッケが大事件になっている。

「焼き肉屋に行けば必ず注文する」のがユッケで、自分でもこれまでにおそらく100回以上は食していると思うが、アタらなかったのは運が良かったということなのかもしれない。ユッケではなく、さくら肉(馬刺し)では一度、食中毒になったけど…。

これまで、たくさんの食中毒事件をニュースで見てきたが、ユッケは初めてだ。
というか、やはり焼き肉屋の社長も油断していたように、「牛肉がらみ」での食中毒は、ほとんど起きないと思われていたフシがあったので、衝撃が大きかったのかもしれない。
しかし、今後は「牛肉でも死ぬことがある」と、ユッケ好きは覚悟しなければいけない。このまま制度や法律が変わらなければ、「社長」の言う通りになるだろう。

その制度や法律に関しては、どうやら「厚労省が世間を甘く見ていた」といえそうだ。

牛肉の「生食用」の定義や認定基準について、われわれシロウトはもちろん、食肉関係者でさえ、キッチリと把握しているわけではなかったのが実情だ。
食品を提供している側(業者)を、今の時代は「性善説」で捉えるわけにはいかないことぐらい、常識人ならわかるはずだ。産地偽装やブランド偽装は今でもリアルタイムで行われていて、厚労省だって、それらを見て見ぬふりをしているに違いないのだから。
だから、「ちゃんと検査して出しているはずだ」などと考える方がおかしい。しっかり監視してもらわないとね。これも、役所の「不作為」にあたるだろうな。

それで、対する善意の第三者である「世間」はというと、やれ「基準を厳しくしろ」とか「新しい制度を作れ」とか言っている。
そんな批判の中には、「魚介類はちゃんと管理されているのに…」という論調の意見もある。ホントだろうか?

たしかに、厚労省が定める、魚介類を生食用として流通させるための基準というのは存在するらしい。リンクは張れないので、厚労省のHPからPDFをダウンロードして閲覧してみるといい。

それによると、「調理場の環境」だとか、「消毒」だの「細菌検査」だの、いろいろと細かく決められているようだ。見た目にはちゃんとした認定基準があるように思える。

しかし、その文面の中に原料用鮮魚介類は,鮮度が良好なものでなければならないというようなことが書いてある。これがかなり笑える。というか、「怒れる」。
そう、これは努力基準でしかないのだ。いわゆる「ベスト・エフォート」だ。食材を調達した本人が、「可能な限り新鮮な素材を持ってきました」と主張すれば、どんなものでも、「新鮮な食材」として流通させていいことになっているのだ。

もちろん、冷凍してしまえば、食中毒を起こすリスクは小さくなるので、何年経っても「新鮮」と言い張ることはできるため、それを考慮して、厚労省でも「生の魚介類」と「冷凍の魚介類」では異なる規定を設けて対応しているが、その「入り口」、つまり仕入れの段階で、どんな食材を持ってくるかに関して、何ら技術的・数値的基準はなく、「新鮮な食材を使う」よう促しているだけとは呆れる。だから、役所としては冷凍モノを分けて扱っているつもりでも、業者が外国から持ってきた冷凍魚介類を解凍して「昨日水揚げされた新鮮な魚」と言い張ったら、それがそのまま流通することになるわけで、そう、魚介類だって、ちゃんと管理されているとは言えそうにないわけだ。

こんな状況では、もし今回のユッケ事件をきっかけに、魚介類用の規定を食肉用に適用するように法律や制度を変えたとしても、その規定の「精神」について論じられなければ、まったく意味のないものになってしまう可能性は高い。この場合の精神はもちろん「食材を口にした人の健康を損なわない」という大前提の安全性を確保する理念だ。

もし、「生食用の牛肉」をちゃんとした形で流通させたいなら、食肉問屋や販売店を免許制にするとかして、より「監視の目」が届くような仕組みを作るべきなのかとは思うが、その前に、もうちょっと厚労省に「監督官庁としての危機感」を持って欲しいと思う。
会見を見ていると、まるで「他人事」のようで、自分たちにはまったく落ち度がないかのように振る舞っているではないか。

これからは、生肉はまず、厚労省の職員に「毒味」してもらうようにしよう。そうでもしないと、彼らに危機感を感じてもらうことはできないのかもしれない。

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